大判例

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最高裁判所第二小法廷 平成4(さ)3 判決

主 文

原略式命令を破棄する。

被告人を罰金二〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五〇〇〇円を一日に換算し

た期間被告人を労役場に留置する。

理 由

東京簡易裁判所は、平成四年三月一〇日、「被告人は、平成三年三月二八日午後

七時三〇分ころ、業務として普通貨物自動車を運転し、東京都文京区ab丁目c番

d号先の信号機により交通整理の行われている交差点を新大塚駅方面からef丁目

方面に向かい左折進行するに当たり、同交差点の左折方向出口に横断歩道が設けら

れているので、徐行し、前方左右を注視して横断歩行者の有無、動静に留意し、そ

の安全を確認して進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、同横断歩道

の横断歩行者の有無、動静を十分に確認することなく漫然時速約二〇キロメートル

で進行した過失により、折から同横断歩道を信号に従い左方から右方に歩行してい

たA(当時六五年)を前方約三メートルの地点に初めて発見し、急制動の措置を講

じたが間に合わず、自車を同人に衝突させて同人を路上に転倒させ、よって、同人

に全治約三八日間を要する頭部外傷等の傷害を負わせたものである。」との事実を

認定した上、刑法二一一条前段、一八条、刑訴法三四八条を適用して、「被告人を

罰金四〇万円に処する。右罰金を完納できないときは金五〇〇〇円を一日に換算し

た期間被告人を労役場に留置する。右罰金に相当する金額を仮に納付することを命

ずる。」旨の略式命令を発付し、同略式命令は、平成四年四月二日に確定した。

しかし、業務上過失傷害罪の法定刑は、平成三年法律第三一号によって改正され

るまで、刑法二一一条前段、罰金等臨時措置法三条一項一号により「五年以下の懲

役若しくは禁錮又は二〇万円以下の罰金」とされていたが、右改正法により、罰金

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等臨時措置法三条が削られるとともに、刑法二一一条の罰金の額が引き上げられて、

「五年以下の懲役若しくは禁錮又は五〇万円以下の罰金」に改められ、右改正法は

平成三年四月一七日に公布され、同年五月七日から施行されたものであるところ、

被告人の本件所為は平成三年三月二八日におけるものであって右改正法施行前の行

為であり、犯罪後の法律により刑の変更があった場合であるから、刑法六条、一〇

条により軽い行為時の同法二一一条前段及び罰金等臨時措置法三条一項一号を適用

すべきである。そして、行為時の右各法律によれば、業務上過失傷害罪の罰金の法

定刑の最高額は二〇万円であるから、これを超過して被告人を罰金四〇万円に処し

た右略式命令は、法令に違反しており、かつ、被告人のため不利益である。

よって、刑訴法四五八条一号により、原略式命令を破棄し、被告事件について更

に判決することとする。

原略式命令の確定した事実に法令を適用すると、被告人の所為は、行為時におい

ては、平成三年法律第三一号による改正前の刑法二一一条前段及び罰金等臨時措置

法三条一項一号に、裁判時においては、改正後の刑法二一一条前段に該当するが、

犯罪後の法律により刑の変更があったときに当たるから、刑法六条、一〇条により

軽い行為時法の刑によることとし、所定刑中罰金刑を選択し、その金額の範囲内で

被告人を罰金二〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八

条により金五〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、

主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官本間達三 公判出席

平成四年一一月二〇日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 木 崎 良 平

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裁判官 藤 島 昭

裁判官 中 島 敏 次 郎

裁判官 大 西 勝 也

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